ショックウェーブ

講義を受けていると「私に似た人がいるので見てほしい」と後ろに座っていた女子大生が隣に座っている友達に話しながらスマホを片手にキャッキャしていた。すごく楽しそうでねえ混ぜてよとその場で女装して言いたかったぐらいだけど、そうしなかった。斜め前には見たことのある顔ぶれ。喋ったことはないけど演習系の講義で同じクラスだった、と思う確か。もしそうなら彼らは就活をしているはずで大変そうだなあと思っていると教授が黒板に何やら新しい文字を書き始めたのでノートにメモを取る。メモを取り終えると机の上に出しておいたiPhoneTwitterのタイムラインを更新して、お気に入りのブログが更新されていないか一通りチェックする。どこも何も更新されていなかったようなのでしょうがなくキンドルアンリミテッドの無料期間中になぜかダウンロードしていたのだめカンタービレを読みながらまた教授が黒板にチョークを打つ時を待つ。後ろの方が騒がしかったらしく教授が大声を出して注意をする。僕は一瞬ビクッとしたけどのだめカンタービレを読むのはやめず、iPhoneの画面だけを見つめている。こんなことをするために大学に通っているのか?と言われたら完全に「そうだ」としか答えられないが、思えば高校の頃から、もっと言えば小学校の頃からこんな調子で1文字も講師の言葉を頭で理解せずに授業を受けているからもう治りそうにない。家に帰ってすることは中学までは同じ漫画を反復して読むことだったが高校に上がってからもっぱらインターネットだった。別にPCもスマホも持ってなくったって2chだってPSPで見ることができた。僕が色々音楽聴いてるのだって別に音楽に関心があったわけでもセンスが良かったとかでもなくてたまたまTSUTAYAが近所にあってたまたまブックオフが近所にあって、少ない小遣いを消費しやすかったのが音楽だった、というだけだった。当時心酔していた神聖かまってちゃんは本人が降臨することも珍しくなかったため2chでのスレッドも活発でそのスレ(避難所と呼ばれていた)ではそのバンドの話だけではなく様々な音楽の話、コテハン同士での口論などがされていた。スレの消費も異常にはやかった。僕は別に音楽雑誌を読み漁ったとかではなくこのスレッドで名前が挙がっていた音楽を片っ端からTSUTAYAで借りていただけだった。僕は音楽が好きというよりは僕がよくいる場所の話についていけるように、精一杯、勉強もせずに音楽を聴いていただけだった。

 

そんな事を考えていたら今日もまた授業が終わった。